出会い



 夜遅く、ひとりの少年が表通りをとぼとぼ歩いている。
 17〜18という辺りの歳の頃、女の子顔であまりパッとした印象を与えない。

(まったく乱暴すぎるよ、「早紀(さき)ちゃん」は)

 誰かとケンカでもしたのだろうか。しかし彼の顔からは怒っているというよりも、困っているという感じがする。

(まだ、あのままなのかな……)

 ケンカの相手がよほど怖いのか、彼は憂鬱そうな顔で裏通りへ入って行った。
 裏通りも鳴滝荘(なるたきそう)に行けるが、表通りよりも時間がかかるのだ。

「もし、そこのお方」

 なにやら占い師みたいな人が、こちらに向かって手招きしている。
 彼、白鳥隆士(しらとりりゅうし)は、辺りを見回した。しかし、辺りに人はいない。ということは……。

「そこの地味な人!」

 やっぱり白鳥のことだったようだ。

「あの、僕のことですか?」

 すると占い師は身を乗り出し言い放った。

「そう、そこのさえない格好のキミ!」

 ひどい言われようだ。

(そこまで言うこと、ないじゃないかぁ)

 白鳥が落ち込んでいると、占い師は、藪(やぶ)から棒に尋ねてきた。

「キミはいま、悩んでいるね」

 白鳥は目を丸くして驚いた。

「なんでそれを!?」

 気のせいか、占い師はホッとした様子で続けた。

「なんでも分かるんだよ。さあ、事情を話してみたまえ、きっと解決する」

〔そのとき僕は、事情を話したほうがいいと思った……んだけど、なんでも分かるのなら、話さなくても、分かるということにもっと早く気づくべきだったんだ〕



――――作者のコメント(自己弁護?)

 どうも、ルーラーです。
 今回は本当に自己弁護しまくることになりそうです。
 まず、なにからなにまで展開が唐突ですし、文体もいまとまったく違いますし、なにより、状況の描写、人物の描写もしていません。すべてすっ飛ばしています。
 というのも、『まほらば〜三つの心〜』は僕の6年前に書いた、初の小説だったりします。だからこんななのです。
 そして、とにかく短いです。
 もちろん他の章とまとめてしまう、という手もありましたが、そこはそれ、当時の作品をそのまま公開する以上、やっぱり章分けもそのままにするべきかな、と思いまして。
 ともあれ、楽しんでいただけたならなによりです。……まあ、この第一話だけで楽しんでもらえるとは微塵も思っていませんが。
 それと正直、これだけをアップするのはさすがにアレでしたので、同時に第二話・第三話もアップしました。
 興味がありましたら読み進めてやってみてください。
 それでは。



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